搾乳牛で260頭、総頭数で640頭を飼養する江別市の小林牧場。大きな牧場を多くのスタッフと運営・管理する小林さんに、人材についてお聞きしました。
この記事は2023年6月1日に掲載された情報となります。
有限会社小林牧場
代表取締役社長 小林 紀彦さん
(JAさっぽろ 組合員)
「ちゃんと利益が出せる安定した経営にならないとね」
スタッフに長く働いてもらうために
小林牧場では社長の小林紀彦さんと、弟で専務の智行さん、紀彦さんの息子さんを含む従業員5人と、搾乳の学生アルバイト6〜7人で運営しています。
「人を育てている感覚はないなあ。スタッフがいないと回らないので、辞めないでほしい、それだけですよ」と小林さん。それでも、社歴が18年、15年、14年と長く勤めている人が多いのには、何か理由があるのではないでしょうか。
「う〜ん、私があれこれ口出さないことじゃないの。間違いは指摘するけど、怒らない。ぐちぐち言わないようにしてるかな」
スタッフとの距離感は「つかず離れず」。牧草の畑作業が始まると牛舎に顔を出せなくなるので、スタッフとはLINE(ライン)アプリでやりとりします。意識しているのは「トラブルや相談ごとにはなるべく早く対応する」くらいだそうです。
「言われた仕事をやるんじゃなくて、自分で考えながらやってほしいんですよね。どうやったら牛乳がたくさん出るか、牛の成長が良くなるか、考えるのを面白いと感じてもらえたらいいんですけど」
どんなに苦しくても毎年昇給
オンとオフのメリハリも大切にしています。神奈川や千葉など道外出身者には帰省できるようシフトを調整したり、アイスホッケーのチームに所属している従業員には仕事とスポーツを両立できるようにしたり、個別の配慮を欠かしません。
「経営者に求められるのは、やりがいと給料と休日の提供ですよね。だから、どんだけ苦しくても昇給は必ずしています」と小林さん。それでもここ数年は、近郊の大学から来てもらっていた搾乳のアルバイトがなかなか見つからず、この先の人材確保には危機感を覚えています。
「都市部だから働き手はいっぱいるでしょ、といわれるけど、人はもうかる産業にしか寄ってこないんですよ。ちゃんと利益が出る安定した経営にならないとね」
これまで小林牧場から巣立った人の中には、酪農家と結婚した女性や道東で新規就農した人もいるそうです。自らの牧場の人材確保にとどまらず、酪農の仲間を増やしていくことにも貢献しているといえるでしょう。