この記事は2016年6月1日に掲載された情報となります。
菜種油、コーン油、大豆油、ゴマ油など、食用油にはさまざまな種類がありますが、ほとんどは海外から輸入される原料でつくられたもの。国産原料で量産が可能なのはこめ油だけですが、昨年「北海道」にこだわった「北海道こめ油」が誕生して、高い人気を博しています。
「北海道こめ油」がデビューするまで
道民の9割が北海道米を選んで食べてくれるようになった今、道産米のファンに向けて安心安全な北海道ブランドのこめ油をお届けすることはできないだろうか。そんな思いから、今回の商品開発がスタートしました。
最初に消費者にアンケート調査を実施したところ、食用油の購入理由として、価格以外に「健康・産地・風味・原料へのこだわり」が高いことが分かりました。であるならば、産地にこだわった「北海道こめ油」も受け入れられると判断。具体的な商品づくりに取り組み始めたのです。
こめ油は玄米を精米する際に出る副産物の米ぬか(お米の外皮と胚芽)から抽出して精製されます。ホクレンパールライスの精米工場は石狩市と砂川市の2カ所にありますが、このうち砂川工場を北海道米専用工場とすることで原料の米ぬかを区別。深川市の油脂会社とタイアップして製造し、平成27年4月より新発売にこぎつけました。
生活協同組合コープさっぽろ
商品本部食品部バイヤー
澤見裕之さん
「これまで北海道産にこだわったものがない分野で、
新商品を開発できれば、売れる可能性はまだまだある」
と太鼓判を押します。
コープさっぽろでは品薄になる人気ぶり
新発売の「北海道こめ油」をすぐに取り扱ってくれたコープさっぽろの澤見裕之バイヤーはこう話します。
「従来から取り扱っている国産こめ油より値段が数十円高いので、実は売れるかどうか半信半疑でした。試しにお米の売り場に陳列したところ、タイミングよくテレビの情報番組でこめ油が健康に良いと取り上げられたこともあって、需要が高まり、順調に売り上げを伸ばしたんです」
それでも当初、売り上げ本数では価格の安い国産のこめ油の方が優位でしたが、昨年の末から従来商品を上回る実績を見せ「現状では全店舗に商品が行き渡らないほどの人気です。
店舗からの発注は多いのですが、月に2回納品される商品を売り上げの高い店舗に割り当てて送っている状態です。『いつ入荷するんですか』という組合員さんからの問い合わせも多くあります」と澤見バイヤー。これからの供給に期待を寄せています。
増産体制を強化
このためホクレンでは、新たに石狩工場の米糠ラインの改造を行い、府県産とコンタミしないように配慮。6月中旬から北海道こめ油の増産を順次始めていく予定です。
「一般的なサラダ油の3倍以上の価格ですが、それでも北海道産が売れるんですね」と感心する澤見バイヤー。「組合員さんに聞くと、油臭くないし、揚げたときの食感が違うとおっしゃってました。一回使った方が気に入ってリピートしてるのでしょう」。
他の国産こめ油と比較して割高でも消費者に支持される「北海道こめ油」。北海道産であることのブランド力と確かな商品力があれば市場の評価は得られるのです。
ホクレンでは、今回ご紹介した事例だけでなく、さまざまな農畜産物や加工品の価値をさらに高め、消費者にもっと欲しいと言ってもらう。そんな北海道産を産地のみなさんと一緒にはぐくんでいきたいと考えています。
column
油ぎれが良く、カラッと揚がります。
管理栄養士・フードコーディネーター りさ さん
「北海道こめ油」で天ぷらを揚げてみて気づいたのは、なによりニオイが少ないことです。揚げ物をするとどうしても部屋に油っぽいニオイがこもりますが、そういう油臭さがありません。
油ぎれが良くてカラッと揚がり、冷めてもベタつかないので、お弁当のおかずにもおすすめです。サラッとしているので、ドレッシングにもぴったりだと思います。
これまでお料理の試作には一般的な菜種油を使うことが多かったのですが、「北海道産」の油があるのならやっぱり安心なものを選びたい。このこめ油なら、クセもないので、料理を選ばず何にでも使えそうです。