JA帯広かわにしでは耕種農家が飼料用とうもろこしの生産を畜産農家から受託する耕畜連携がさかんです。6年前、取り組みのきっかけをつくった耕種農家と畜産農家を訪ねました。
この記事は2020年12月1日に掲載された情報となります。
帯広市 野原 幸治さん
Profile:飼養頭数190頭(うち経産牛98頭)の牧場を妻と息子とで家族経営。自前の飼料畑の面積は42haで、ほかに19haの畑を委託しています。
帯広市 藤田 光輝さん
Profile:畑作専業農家。妻と両親の家族4人で73haを作付けしており、そのうち9haで飼料用とうもろこしを受託栽培。野原さんを含め3戸に供給しています。
お互いのニーズが一致
6年前、輪作体系に何かプラスできる作物はないかと探していたのが、畑作農家の藤田光輝さん。面積を40haから70haに増やしたばかりでした。それまで小豆、金時、小麦、小麦、てん菜の5年輪作をしていましたが、豆も小麦も過作ぎみ。家族経営なので「手間をかけずにつくれるものはないか」と普及センターに相談したのが始まりでした。
同じ頃、牛舎を新築して飼養頭数を増やした畜産農家の野原幸治さん。「自給飼料を通年確保したいから、地域に飼料用とうもろこしをつくってくれる人はいないだろうか」と普及センターに聞いたところ、藤田さんとの連携を持ちかけられました。
「飼料用とうもろこしは、機械の投資もいらないから導入しやすい。収穫はコントラクターなので、私の作業は6月の防除で終わる。これはいい、と思いました」と藤田さん。野原さんの方も「自給飼料が安定的に確保できるようになりました。良質な餌は牛の健康維持や生産性向上にもつながります」と満足げです。
畑作農家も畜産農家も輪作に熱心
藤田さんは現在、飼料用とうもろこし、小豆、加工用スイートコーン、小麦、小麦、てん菜の6年5品目の輪作体系です。
「どこに飼料用とうもろこしを挟むといいか、いろいろと試して、今は小豆の前にしています。以前はてん菜の後に小豆を植えていたのですが、土が肥えすぎて小豆が倒れコンバインで収穫しづらかった。それが飼料用とうもろこしで、畑がリフレッシュされるのか、小豆がちょうどいい感じでつくれるんです」
飼料用とうもろこしは儲からないという声もあるものの「それは単年度で考えてるから。飼料用とうもろこしを入れることで理想的な輪作体系に近づいた。ほかの作物の増収効果もあり、経営全体で考えるとこんなにいいものはないなと思う」と胸を張ります。
畜産農家の野原さんも隣の畑作農家と交換作をして、草地の輪作に取り組んでいます。
「牧草地は5〜6年使ったら、土を起こして飼料用とうもろこしをつくる。翌年は隣の農家さんと畑をばくって、お隣さんが小豆を播く。その後また飼料用とうもろこしをつくってから、牧草に戻すスタイルです」
栄養価の高い牧草を年に3回収穫し、短い期間で草地を更新している野原さん。「それができるのも、複数の畑作農家さんに飼料用とうもろこしをつくってもらっているから」と感謝の気持ちを忘れません。
「畑作農家さんの土地や作物に対する思いは、うちらが牛にかける愛情と同じ。信頼してお願いできます」
強い信頼関係のもと、地域で連携して輪作に取り組んでいました。