2023年 営農のポイント 園芸

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2023年 営農のポイント 園芸

ポイント
野菜は肥料コスト低減と省エネ対策に注力を
【新技術】にんにくのウイルスフリー種苗で収量が大幅アップ
【新技術】秋切りトルコギキョウは赤色LED照明で収益アップ
花きは夏の高温による生理障害に要注意
果樹は適切な樹体管理で着果量の調整を

この記事は2023年4月1日に掲載された情報となります。

北海道農政部  生産振興局 技術普及課  主査 浅田 洋平さん

北海道農政部  生産振興局
技術普及課  主査
浅田 洋平さん

野菜

ポイント❶
野菜は肥料コスト低減と省エネ対策に注力を

肥料や燃料等の高騰により、肥料コストの低減や施設野菜の省エネルギー対策が求められています。土壌診断の結果を基にした減肥のほか、前作物の残渣(ざんさ)や堆肥、緑肥などの有機物を肥料評価し、化学肥料削減を心掛けましょう。昨年はまとまった降雨により肥料流亡も見られました。適切な分施や、じわじわと効き目を発揮する肥効調節型肥料の活用もご検討ください。根張りを向上させる土壌物理性改善の取り組みも重要です(写真1)。

施設野菜(低温期)の省エネ対策としては、加温機器の適切な利用、ハウスの保温性向上、温度管理の改善などが挙げられます。ハウスの保温性向上は、気密性の向上、多層化・多重化、保温性の高い被覆資材の活用がポイントで、これは無加温ハウスの温度管理にも応用できます。ビニールの破れや隙間は修復し、ハウス内の気密性を高めましょう。CO2の施用効率やハウス内の温度ムラにも関係してきます(写真2)。

広幅型心土破砕機による土壌物理性改善の取り組み。
写真1.広幅型心土破砕機による土壌物理性改善の取り組み。
昨年は7~8月を中心に、急激な気温上昇による果実障害が発生。トマトなどでは着色不良(写真)や軟果、尻腐れ果が見られました。温度管理も重要です。
写真2.昨年は7~8月を中心に、急激な気温上昇による果実障害が発生。トマトなどでは着色不良(写真)や軟果、尻腐れ果が見られました。温度管理も重要です。

ポイント【新技術】
にんにくのウイルスフリー種苗で収量が大幅アップ

道内で多発しているにんにくのウイルス2種1属を高感度・短時間で同時検出できる新規ウイルス検査法(FDA法)が開発されました。種苗の検査に活用すればウイルスフリーの種苗の供給が可能です(写真3)。また、防虫ネットによる被覆栽培は、アブラムシ媒介性ウイルスの再感染対策として効果が高いことも明らかになりました。

にんにくのウイルスフリー化による増収効果(ピンク種:2020年) ウイルスフリー種苗を使用すると一球重は5割増となり、飛躍的な収量性向上が見込まれます。
写真3.にんにくのウイルスフリー化による増収効果(ピンク種:2020年) ウイルスフリー種苗を使用すると一球重は5割増となり、飛躍的な収量性向上が見込まれます。 http://www.hro.or.jp/list/agricultural/center/kenkyuseika/gaiyosho/r5/f1/04.pdf

花き

ポイント❸【新技術】
秋切りトルコギキョウは赤色LED照明で収益アップ

6月植えのトルコギキョウは、中生〜中晩生品種で定植から出蕾(しゅつらい)期まで赤色LEDで終夜照明を行うと、頂花の出蕾抑制により切り花長・分枝数ともに増加し品質が向上することが実証されました(図1)。ビニールなどで覆い人為的に夜を長くする短日処理よりも省力・低コストで収益性が高まります。中早生品種も育苗時照明を追加することで同様の効果が得られます。

トルコギキョウ品質向上のための赤色LED照明技術 高さ1.8mに赤色LEDの照明を左右交互に3m間隔で設置するだけで開花を抑制。高温のハウス内で遮光ビニールをかけたり外したりする作業も不要になり、省力化にもつながります。
図1.トルコギキョウ品質向上のための赤色LED照明技術 高さ1.8mに赤色LEDの照明を左右交互に3m間隔で設置するだけで開花を抑制。高温のハウス内で遮光ビニールをかけたり外したりする作業も不要になり、省力化にもつながります。
ハウスの外観(夜)
写真4.ハウスの外観(夜)
赤色LEDで暑さに負けない花づくり(資料)
https://www.hro.or.jp/list/agricultural/center/kenkyuseika/panf/r5/07.pdf

ポイント❹
花きは夏の高温による生理障害に要注意

花きの需要が回復してきましたが、減った作付けを気に戻すのは難しく、供給不足が発生。花きの単価が急激に上がりました。北海道ではここ数年、特に夏期の高温によって開花が早まり計画出荷が難しくなっているほか、生理障害(葉先枯れ、短茎開花、花飛びなど)が増えています。光線透過率の高い遮光(遮熱)資材でハウス内の温度上昇を抑制し、品質の良い花き生産に努めましょう。


果樹

ポイント
果樹は適切な樹体管理で着果量の調整を

昨年は樹種によって結実が多く、夏期の多雨で枝伸びが旺盛で、栽培管理の遅れた園地では摘果の遅れや病害の発生が見られました。樹体管理は着果量と枝の伸びのバランスをとり、しっかり貯蔵養分を蓄えることが大切です。早期適正着果、日当たり・風通しの改善、適期防除など、天候を考慮した作業を段取りよく進めましょう。